2017/05/18
読売新聞で「タンス預金」の記事が載ってました。
”「タンス預金増加か
2月、マネーストック速報6.7%増90兆円」
日本銀行が9日に発表した2月のマネーストック速報によると、
世の中に出回っている現金の月中平均残高は前年同月比6.7%
増の90兆3000億円で、2003年2月以来、13年ぶりの
高い伸び率になった。(中略)
一方、マネーストックの代表的な指標となるM3の月中平均残高
は、前年同月比2.5%増の1237兆7000億円だった。
景気の緩やかな回復に伴い、金融機関の貸出が増えているためだ。”
この記事の読み方
見出しが、「タンス預金増加か マネーストック速報 6.7%増90兆円」
となっていていかにもマネーストックが増加しているように感じますが
違います。よく記事を読んでみると、日銀が発表したマネーストック
速報というもののうち、現金の月中平均残高は前年比6.7%の90兆円に
なったということでした。
つまり、マネーストックという経済指標で極めて重要なものが、
マイナス金利で大幅に増加したように勘違いしやすい記事に
なっていることに注意が必要です。
マネーストックが増加したという記事ではなく、日銀の「マネーストック速報」という
速報のうち「現金の月中平均残高」というものが高い比率で伸びているということです。
要するにタンス預金が高い伸び率で増えているらしいという記事です。
タンス預金増加は予想どうりの展開ですね。
マイナス金利下では、金利よりも手数料の安さが銀行を選ぶ基準になります。
ATMでの引き出し手数料が低いネットバンクに移行する人も増えてくるかと思います。
記事後半に不明点があります。
”一方、マネーストックの代表的な指標となるM3の月中平均残高
は、前年同月比2.5%増の1237兆7000億円だった。
景気の緩やかな回復に伴い、金融機関の貸出が増えているためだ。”
となっていますが、2.5%の増加率はこれまでの増加率と比べると
むしろ減少傾向です。
そして、景気の緩やかな回復に伴い、金融機関の貸出が増えているとありますが、
2月の銀行計貸出残高は前年比で2.2%の増加にとどまっていて、これもこれまで
の前年比率と比べると、減少してます。
なぜ、このような経済指標の数値で金融機関の貸出が増えていると
いう記事になるのか不明です。
むしろ、金融機関の貸出は指標だけ見ると減っているように見えるのですが・・・
いまのところ銀行貸し出しは増えていない。
マイナス金利導入の目的は、銀行が企業への貸出を増やすことでしたが、
なかなか増えていないのが現状のようです。
銀行の企業への貸出を増やすために、政府が今後どのような政策を
選択するか見ものです。
マイナス金利だけでは、貸出は増えないと予想します。
- 編集後記
新聞記事は、記者の恣意性が入るので、慎重に読みたいものです。
記事で、景気判断するのではなく、経済指標そのもので確認できる
ようにしていこうと思います。